メンヘラクソピアスちゃん

物書きやってる麻宮ミヤネのブログです。友達がいません。

映画・晴天の霹靂の感想文

青天の霹靂見ましたけど愚直に綺麗な話で観て損はなかったと思うと同時にサブカルとか外国の作品に比べて残るものがないなぁって感じだったんですけど、この残るものがないってことが日本映画の肝なんじゃないかっていう話でして。

まぁ日本映画にピンとこなかった最近なんですけど。日本映画も凄いんだぞって所を期待して観に行った映画全部ハズレだったんですけど青天の霹靂は凄くしっくりきました。劇団ひとりさんの監督としての才能と大泉洋さんの演技力の真骨頂が垣間見えたというか。

確かにあれをつまらないって切り捨てる人もいるとはわかってます。だっていわゆる日本映画にありがちな『泣ける映画』が軸ですもんね。泣ける映画しかねーのかよ日本映画はって感じ。かといってコメディもなかなか外国に比べちゃうとっていうところもあって。だから日本映画は観たときにあんまりだなってなるときも多いのはわかります。クレヨンしんちゃんのロボとーちゃんとか観た方が普通に心に残るわって感じ。

でも青天の霹靂はそういう日本映画の煩わしさを愚直に捉えて壁を乗り越えてるというか。綺麗な話です。若者にはピンとこないんでしょうけど。いや、自分も若者ですけど少なくともエゴサーチしたら社会人二年目ですって自己紹介文に書いてた奴が『青天の霹靂マジでクソだったわ』って呟いててさ、お前にはわかんねーだろうな社会人二年目であの映画の心情わからねーんだ苦労してない証拠だろっていうさ。クソだって言うのは勝手ですけどただ理由も書かずにクソだって言えちゃうお前にはわかんねーよっていう。あ、個人的な怒りですけど。

綺麗な作品で、笑いもあって涙もあって、ひたすら人間くさい。主人公の人生に対する憤りとその答えを映画の中で見つけて一歩踏み出すまでの過程を映像におさめたっていうこの愚直さは非常に評価出来ます。出来ますっていうか個人的にはって話ですけど。映画の評論をしたいわけじゃなくてただ脳直に感じたことを書いてるだけなんで。

ただ残らないんですね。心に。それって綺麗だから。面白いんですけど、こう、人に勧めるには難しいというか。もともとサブカル脳だからっていうのもあるんですけど。泣けるっていう説明もアレだし大泉洋劇団ひとりがいいって説明もアレだしかといってめちゃくちゃ面白いかといったら面白いとは別の生きるための作品だし。

でも観たら引き込まれるんですよね。で、見終わったらスッとする。何も残らない、は悪い意味じゃなくて良い意味で。小難しい感想抜きにまた生きてみよっかな、と思える作品。日本映画って恋愛ペット泣けるの3つかよってなりがちですけどそういった意味では泣けるというテーマにぶつかってぶつかって、そして洗練されていってチープさから出て行ったような、上品な作品でした。何も残らないことこそ日本映画が外国映画に勝ってるところなのかもなぁとか。

タイムスリップする話なんですけど、タイムスリップ物にありがちな未来が変わるとか相対性理論がどうのみたいな話は一切ないですから。やりがちなところをあえて省いて観てる側の観る力に委ねるところは粋でした。そうそう、面倒くさい考証で誤魔化さないところがいいです。

それなりに褒めてますけど、泣ける映画ってところが前提だし、物語としては波瀾万丈とかではなく基本的にひとつの家族とか人間とか集団とかを描いてる狭い世界の話だからすっげー面白いとかではないです。サブカル畑の人間たちは特に好みが別れるかもですね。ただ最近の日本映画にしっくりこないって人がいたら観るといいかもしれませんね。笑って、感動して、和んで、何も残らないけど何かは感じられる。そんな映画でした。

ただ予告編とかでネタバレがあるらしいんで(それを聞いてたから前情報は殆どいれなかった)そこは注意した方がいいかもですね、観る人がいたら。

 

 

 

すがすがしい気持ち。